映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』感想・メイキング 【ダンケルク戦いの裏側で】
観る予定はなかったのですが、観たらとってもよかった一作。
チャーチルがイギリス首相に就任したのは第二次世界大戦・戦時下の暗黒時代。イギリス政府はダンケルクの戦いで苦戦を強いられ、ナチス・ドイツとの和平交渉か、屈せず戦うのか……。その決断をせまられたチャーチル政権下、苦悩の一か月を描く。
ダンケルクの戦いの裏で
2017年公開『ダンケルク』では、イギリス軍がダンケルクの戦いでの奇跡の撤退(ダイナモ作戦)にいたるまでが、三つの時間軸で描かれる。みんな大好きクリストファー・ノーラン監督によるスリリングかつテクニカルな名作。
ですので、
『ダンケルク』とセットで観るのが断然オススメです!
より堪能できると思います。
実際、恥ずかしながらダンケルクの戦いがあったことすら知らなかった私ですが、たまたま本作の鑑賞前に『ダンケルク』を観ていたおかげで、とてもすんなりと時系列や流れをつかむことができました。
順番は…う~ん。もしかすると、本作を先に鑑賞するのがいいかも。『ダンケルク』の鑑賞後、まぬ子は世界史をしらべる羽目に…なったので…
伝記モノゆえ、ガッチガチのお堅い映画なのかと思いきや、エディトリアルはモダンで好感が持てるし、
特にチャーチルがイギリス国王の手に誓いのキスをするシーン!彼が暗黒時代に差し込む光であることを絵は語る。とても美しいシーンです。
この国王は『英国王のスピーチ』(2010)でおなじみ、コリン・ファース演じるジョージ6世だそう。
「おなじみ」と言っておきながら、私はまだ見てないので、こちらも一緒に見るとより理解が深まりそうですね。鑑賞後、追記するかもしれません。
逆Vサイン
劇中でチャーチルがパパラッチに手の甲を向けてVサインをするシーンがでてくる。
チャーチルがやりたかったのは私たち日本人もよくやる「Victory」のVサインなのですが、イギリスでは手の甲をカメラに向けるのは「クソったれ!」の意味になるということを秘書エリザベスに指摘されるのでした。
なんとこのエピソード、実話だそうで。なんてチャーミングなおじいさんなの…
言葉の魔術師・チャーチル
言葉の魔術師といわれていたチャーチルとあって、作中にも彼の名言がところどころ散りばめられているようですね。チャーチル自体ピンとこなかった低能なまぬ子には、残念ながら「これ聞いたことある~~!」という興奮は味わえなかったのですが(苦笑)
ただ、このおじさん、言葉の魔術師というだけあって、終始ベラベラベラベラ話してくれます。もはや独り言だったのか…?緊張感とユーモアある会話劇がとても生き生きして感じられたのも、彼のウィットに富んだ言葉えらびによるものでしょう。
だからこそ、終始話し続けていた言葉の魔術師・チャーチルが、あまりの重圧から
作中の中で、私の心に響いたのはチャーチルの言葉でありません。
「あなたが強い人間なのは欠点があるから。 あなたが賢い人間なのは迷いがあるから」
これは、世界を背負う重圧に、迷い、苦悩するチャーチルへ、妻・クレメンタインがかけた言葉。
調べた限りだと、実際にこういった名言が存在したわけではなさそうですが、それでも素敵な言葉だなぁ。良妻の支えあって、彼は思い切った決断ができたのでしょう。
伝える力のある人ほど、人に耳を傾けるものだったりするものですね!
インタビュー&メイキング
特殊メイクでアカデミー賞 メイク・ヘアスタイリング賞受賞し、大きな話題となった辻一弘さんのインタビュー。
鑑賞後もなお、ここまで顔の原型をなくしてまでゲイリー・
これだけ色々と顔に肉付けしているのに、
Darkest Hour Featurette - Makeup (2017)
こちらは特殊メイクの様子。
重そうだなぁ皮膚パーツ。あんなにも屈強そうなスタッフなのに、結構力んで運ばないといけないのか…
ゲイリー・オールドマン、撮影中は肩こり凄まじかっただろうなぁ…
DARKEST HOUR: STEPHANE NAZÉ – VFX SUPERVISOR – FRAMESTORE
VFXを担当したVFXスーパーバイザー(Framestore)のインタビュー。
特殊メイクの出来があまりにもよくて、想定していたよりもコンポジットでの修正が少なくてすんだというお話が印象的。
Darkest Hour's Director Breaks Down a Scene with Winston Churchill | Notes on a Scene | Vanity Fair
個人的に素晴らしいと思ったライティングの指示書。
とても細かく指示していて、いかに絵作りが緻密に計算されていたかがわかる。
色んな角度から歴史を学べるから、映画は優秀なおとなのための教科書でもあるんだなぁ(もちろん子供もですが)